「勝間選手をヤユるとホームラン競争を挑まれんだね」というわけでここ最近、勝間和代さんという経済評論家のブログに注目している。いまさら? という人もたくさんいることだろう。そのブログ、パフォーマンスっぽくもあるけど、まあ面白い試みだと思うので紹介したい。
ことの発端は、ネットの本屋さんAmazon.co.jpにおいて、勝間さんの書籍にネガティブなクチコミが投稿されたことによる。どうやらその内容は、書籍の内容を批判するというよりも、勝間和代というキャラクターを誹謗中傷するようなものであったらしい。
そうした一連の投稿にご本人が気がついてしまう。勝間さんによれば、揶揄している方は勝間さんの書籍を読んでいない方で、勝間さんとしては「読んでもいないのに私をディスるのはどうよ?」というお気持ちのようである。
火がついた勝間さんは、揶揄している方に対し、書籍のクチコミコーナーから動画サービスUstream上での公開討論を呼びかけ、応じないと見るや日本全国、都合のいい時間にそちらに出向くとまで譲歩する。赤帽も真っ青になりそうなフットワークの軽い経済評論家である。
外野からのヤジに対して、多くのプロは黙して語らないことがほとんどだ。野球選手がスタジアムで観戦するオッサンのヤジに、「よし! アンタとここでホームラン競争しようじゃないか!」とは持ちかけないだろう。
違うな、揶揄された方は本も読まれていないということなので、ニュアンスはもっとこんな感じかもしれない。
居酒屋のテレビから流れるナイター中継に対して、「あのバカヤローは性格がおとなしすぎるから、ここぞってときに打てないだ」とかなんとか、そんな風にすっかりクダを巻いているオッサンがいたとする。そこへテレビの中の勝間選手が「ちょっとアンタ! 私とここでホームラン勝負しなっ! アンタがここに来ないなら、その居酒屋に私が行くから勝負だよ!」みたいなことである。とにかくとても不思議なシチュエーションだ。
結局、勝間さんの提案は肩すかしを食った形となり、“アンチ勝間”な方々の振るまいについて、ご本人は「ヤツらは『義憤』にかられている」と結論づけ、さらには「義憤」にかられた人々の振るまいをいくつかのパターンにまとめていく。
ご本人がカギカッコ付きで「義憤」としていることから、おそらくそれは本来の義憤という意味ではない。その後の投稿からすると、詭弁という意味でとらえて欲しがっているのはわかるが、今回の場合は詭弁より関東弁の【やっかみ】に相当するんだと思う。やっかみならば、有名税みたいなもんなんだしほっといたれよ、と思わなくもない。ほっとけないのは楠瀬誠志郎で足りている(古い)。
それともう一つ。仮想であるか現実であるかは置いておくけど、「アンチ」の存在を際立たせることで、アンチの対象であった人やモノがかえって高いところに上っていくなんて局面、あまり珍しいものではない。なので、「勝間はわざとアンチを際立たせている!」みたいに根拠なく叫んでみると、僕も「義憤」にかられたアンチとなり、そもそも立ってもいないのに立つ瀬が無くなってしまうところだ。まぁ、そんなつもりはさらさらないので、今しばらく勝間さんのブログに注目していきたい。おしまい
【おまけ】
モノマネ番組なら、背後から登場したご本人にびっくり〜! みたいな和気藹々なノリなんだと思うが、Amazon.co.jpのクチコミコーナーに本人登場とか、一体どんな気持ちになるんだろうか。作家さんの新作出版記念サイン会よりも、もしかしてAmazon.co.jpで購入するとご本人登場! とかの方が盛り上がるのかもしれない。おしまい、おしまい。
【勝間さんのブログ記事】
「まじめの罠」でまじめにアンチの方たちと会話をして、そのモチベーションは「義憤」だということがわかりました。
http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/private/2011/10/post-c003.html
ネット上で「義憤」を表明するときに使う4つの手法をまとめてみました
http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/private/2011/10/4-c0d9.html
詭弁の代表的な3つの手法。性急な一般化、人に訴える議論、藁人形攻撃〜香西秀信著「論理病をなおす!〜処方箋としての詭弁」より
http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/private/2011/11/post-f15a.html